僕がこの学校の存在を知ったのは家族でイギリスに留学してから1年もたった後のことで、既にギリギリ対象の年齢を超えていました。本来であれば通えるのは妹と弟だけだったのですが、ボランティアでいいからと教師側の手伝いをさせてもらうことになりました。自分にとっては、この経験が大きな転換点になったと感じています。
当初僕は、イギリスの高校にもあまり馴染めずにいました。元々東日本大震災の影響を受けての留学だったという経緯もあり、日本に強い未練があったので、そもそもあまり馴染もうとしていなかったのかもしれません。そんな中、なんとか巡り合えた日本のコミュニティに関わりを持てるのであれば生徒である必要はありませんでした。補習校側もボランティアであればと快く歓迎してくださり、その後2年間にわたり補助講師として携わってきました。
各学年を少しずつ見た上で個人的にとても印象的だったのは、同じクラス内の生徒の言語レベルのばらつき具合です。1クラスあたりの人数はそう多くありませんでしたが、イギリスに来た年齢や家庭環境、日本を離れた時の心境など多くの要因が複雑に絡み合い、生徒それぞれの英語と日本語の習得具合に大きな差を作っていました。それでも、先生方はペース配分や課題の提示方法を創意工夫したり、すぐできる子がすんなりとわからない子を自然と助けるよう促したりしながら滞りなく授業を進めていました。
結果として、補習校を卒業する頃には誰しも日本で生活するのに困らない程に日本語が話せるようになっていました。補習校では授業以外にも、休憩時間や放課後に日本語でおしゃべりしていることが多く、友情を深めながら日本語も高めあっていたように思います。
実際、先日単身で日本に旅行に来た卒業生と会いましたが、今でも同期の仲間と連絡をとって会っているそうです。ヨークシャーハンバーサイド日本語補習校は、近郊に住む日系の子供であれば可能な限り通った方がいいと思いますし、高校生以上でもぜひ1度は行ってみてほしいあたたかい団体です。